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賃貸契約で必要なものは?流れ・必要書類・費用をまとめて解説

賃貸住宅を借りるときは、部屋を決めたらすぐ入居できるわけではありません。入居申込、審査、重要事項説明、契約、初期費用の支払い、ライフラインの手続きなど、いくつもの段階があります。

必要な書類や準備すべきものは、学生・無職・フリーランス・未成年・県外からの引っ越しなど、状況によって変わる場合があります。

そこで本記事では、賃貸契約の流れに沿って「何が必要か」を整理し、契約時にかかるお金や、入居前後の準備、よくある疑問までまとめて解説します。

賃貸契約の基本的な流れ

賃貸契約は、物件を探してから実際に入居するまでに、いくつかのステップを順番に進めていきます。基本的な流れは、次の6つです。

賃貸契約の基本的な流れ

  1. 物件探し・内見
  2. 入居申込
  3. 入居審査
  4. 重要事項説明・契約
  5. 初期費用の支払い
  6. 鍵の受け取り・入居

それぞれのステップにおいて、用意が必要なものをご紹介します。

賃貸契約の流れと必要なもの(書類など)

1.入居申込時

入居申し込みは、「この部屋を借りたい」と正式に意思表示する段階です。住みたい部屋が決まれば、主に不動産会社を通して行います。この時点では、契約そのものではなく、審査に必要な情報をそろえるという意味合いが強くなります。

主に必要になるものは、入居申込書、本人確認書類、収入を確認できる資料、勤務先または学校の情報、連帯保証人あるいは緊急連絡先、家賃債務保証会社の申込書などです。

本人確認書類

本人確認書類は、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、パスポートなどが一般的です。手元にあるものを提出するケースが多いですが、有効期限切れでないかは早めに確認しておくと安心です。

本人確認書類

収入証明

会社員なら源泉徴収票や給与明細、自営業やフリーランスなら確定申告書控えや課税証明書などが候補になります。

収入証明

必要な書類の入手先

源泉徴収票は勤務先、課税証明書は市区町村、納税証明書は税務署やe-Tax、学生証は学校、内定通知書は勤務予定先から入手します。

必要な書類の入手先

申し込みは早い者勝ちになりやすい一方、必要書類がそろわないと機会を逃しやすいという点です。特に人気物件では、迷っているうちに別の申し込みが入ることもあるため、内見前から身分証や収入関係の資料を確認しておくと動きやすくなります。

2.入居審査時

入居審査では、申込内容に問題がないか、継続的に家賃を支払える見込みがあるかなどが確認されます。審査の観点は物件や貸主によって異なりますが、本人確認、収入状況、勤務先や学校の在籍状況などが中心です。

近年は、これに加えて家賃債務保証会社の審査が必須となっており、その承認を得てから契約や入居に進む流れとなっています。

申込書の年収や勤務先情報と提出資料の内容が食い違うと、審査が長引くことがあります。転職直後、入社前、独立直後など、事情がある場合は、先に不動産会社へ説明しておくほうがスムーズです。

学生の場合

学生は、学生証、合格通知書、在学証明書などを求められることがあります。親が家賃を負担するケースでは、親権者の同意書や親の収入証明、親を連帯保証人または契約者とする対応が必要になることもあります。未就職の新入生は、入学予定であることを示す資料が重要です。

学生の場合の入居審査

無職の場合

無職の場合は、現在の収入がないため、預貯金残高、退職金の入金履歴、年金受給証明、就職予定を示す内定通知書などで支払い能力を補足するケースがあります。求職中であること自体が直ちに不可になるわけではありませんが、毎月の家賃支払いをどう担保するかを説明できるかがポイントです。

無職の場合の入居審査

フリーランス・自営業の場合

フリーランスや自営業では、会社員のような定型の給与明細がないため、確定申告書控え、課税証明書、納税証明書などを追加で求められることがあります。

フリーランス・自営業の場合の入居審査

未成年の場合

18歳未満が本人名義で賃貸借契約を結ぶ場合は、民法で「法定代理人(親権者)の同意」がなければ法律行為を行うことができないとされています。親権者の同意なく結んだ契約は、後から無効にできる可能性があるため、不動産会社では親権者の同意書の提出を求めています。なお、18歳・19歳は法律上成年ですが、実務上は支払い能力や契約内容の理解確認のため、同意書の提出や親名義での契約を求められる場合もあります。

取材POINT

愛知県内の家主による有志団体の協力を得て会員に聞いたところ、未成年本人ではなく親を契約者とし、あわせて家賃債務保証会社の審査が通ることを条件に貸し出すという意見も聞かれました。

県外への引っ越しの場合

県外へ引っ越す場合は、現住所の確認書類に加え、転勤辞令、内定通知書、勤務予定先の情報など、新居の地域で生活する予定があることを示す資料が求められることがあります。郵送契約やオンライン重要事項説明に対応しているかどうかも、早めに確認しておくと安心です。

県外への引っ越しの場合の入居審査

3.賃貸契約時

審査通過後は、重要事項説明を受け、賃貸借契約を締結します。賃貸借契約は、入居申込時よりも正式な書類提出が求められます。

主に必要となるのは、住民票、印鑑、本人確認書類、収入証明書、銀行の通帳および口座印、連帯保証人の同意書や印鑑証明書、保証会社関係書類、火災保険の加入関係書類、口座振替依頼書などです。

住民票や印鑑証明書は発行から3カ月以内など条件が付くこともあります。先に取り過ぎると期限切れになることがあるため、審査通過後に案内を受けてから準備するほうが無駄が出にくいこともあります。

また、近年は電子契約に対応した物件も増えており、紙の押印が不要なケースもあります。一方で、保証会社や保険の手続きは別途必要になることがあるため、「オンライン契約=何も準備しなくてよい」とうわけでもありません。

賃貸契約時

4.入居時

契約が終わったら、いよいよ鍵を受け取り入居します。ただし、入居時は「住み始める準備」だけでなく、「退去時のトラブルを防ぐ準備」も重要です。

まず確認したいのは、部屋の傷や汚れ、設備不具合の有無です。床や壁、建具、水回り、エアコン、インターホンなどをチェックし、気になる箇所は写真で記録しておくと安心です。入居直後の確認を怠ると、退去時に「入居中についた傷」と誤解されることがあります。

また、鍵の本数、ポスト番号、宅配ボックスの使い方、ごみ出しルール、駐輪場・駐車場の使い方、共用部の注意事項など、生活面の確認も必要です。

さらに、電気・ガス・水道・ネットの契約手続き、郵便物の転送届、住民票の異動、引っ越し日当日の立ち合いの有無なども忘れずに進めます。特にガスは開栓立ち合いが必要になることが多いため、引っ越し日が決まったら早めの予約が重要です。

入居時

賃貸契約で必要なお金

賃貸契約では、毎月の家賃とは別に、契約時にまとまったお金が必要になるのが一般的です。家賃だけを見て予算を決めてしまうと、「思ったより初期費用が高かった」と感じることもあります。

あとで慌てないためにも、どんな費用がかかるのか、家賃以外に何の支払いがあるのかを事前に知っておくことが大切です。以下に、代表的な費用の内容やポイントを紹介します。

敷金・礼金

敷金と礼金は、賃貸契約時に家賃とは別に必要になる代表的な費用です。

【敷金】

敷金は、未払い賃料や退去時の原状回復費用などに備えて、貸主へ預けるお金です。退去時に全額返るとは限らず、契約内容や部屋の使用状況によって精算されます。相場感は物件や地域によって差があります。

【礼金】

礼金は、貸主に支払う謝礼的なお金で、退去時に返還されないのが一般的です。

【敷金・礼金の相場】

金額は物件や地域によって異なりますが、最近は敷金・礼金なしの物件も増えています。

敷金・礼金
取材POINT

アパマンショップ植田店を運営するアプトの副社長、隈井克佳さんは「名古屋市では敷金・礼金が0円である代わりに『修繕前預り金』などの名目で、家賃1カ月分程度の費用が必要になるケースがあります」といいます。一方、刈谷市、安城市、豊田市など三河エリアでは、物件の供給数が限られることから、敷金・礼金がともに必要な物件も多いといいます。また、家主の木全雅仁さんは、自身の物件では「敷金1カ月・礼金なし」としていると話しており、敷金・礼金の設定には、貸主やエリアによる違いが見られます。

仲介手数料

仲介手数料は、不動産会社が契約を仲介したことに対して支払う費用で、家賃の1カ月分である場合が多いです。

仲介手数料

家賃債務保証

家賃債務保証とは、借主が家賃を支払えなくなったときに、保証会社がいったん貸主へ立て替える仕組みです。近年は、賃貸契約の際に家賃債務保証会社への加入が必須となっており、連帯保証人がいても、あわせて利用を求められます。

申込時には、申込者本人の情報に加え、連帯保証人または緊急連絡先の情報必要になるのが一般的です。

利用する場合は、初回保証料や更新保証料などの費用がかかり、金額や支払い方法は物件や保証会社によって異なります。契約前に、加入が必須かどうか、保証料はいくらか、更新時に費用がかかるかを確認しておくと安心です。

家賃債務保証

家財保険

家財保険は、家具や家電、衣類など、自分の持ち物を守るための保険です。たとえば、火災や水漏れなどで家財が使えなくなったり、傷んだりした場合に備えることができます。あわせて、借りている部屋で事故が起き、貸主やほかの部屋に損害を与えてしまったときに備える補償が含まれていることもあります。保険料は契約時に一括で支払う場合のほか、月額で支払うタイプもあります。

家財保険

前家賃・日割り家賃

賃貸借契約において翌月分の家賃を前月(契約時)に支払う仕組みです。4月に契約し、5月から住む場合、5月分の家賃をあらかじめ支払う、先払いが一般的です。月の途中から入居する場合は、日割り家賃が発生します。

なお、物件によっては、「契約してから実際に入居するまで」の一定期間、家賃が無料になる「フリーレント」が付く場合もあります。

前家賃・日割り家賃

共益費・管理費

共益費・管理費は、共用部分の維持管理などのために家賃とは別に毎月かかる費用です。

共益費・管理費

鍵交換費用

入居前に鍵交換を行う物件では、鍵交換費用が必要になることがあります。必須か任意か、交換済みか、ディンプルキーなどで金額が上がるかは、事前に確認しておくと安心です。

鍵交換費用

その他にかかることがある費用

24時間管理サポート費用、消毒費用、クリーニング費用などが設定されている場合もあります。

賃貸契約の、書類・お金以外で必要なもの

電気の契約

電気は、入居の1~2週間前まで使用開始手続きをしておくと安心です。最近は自由化により契約先を選べますが、物件によっては一括受電方式などで選べない場合もあります。ブレーカーの位置や、通電の初期設定も確認しておくと入居当日がスムーズです。

電気の契約

水道の契約

水道の契約は、管轄の水道局へ入居の1週間前~3日前までに直接申し込みます。しかし、賃貸物件(特にアパートやワンルーム)では貸主が水道代を管理しているケースもあるため、まず契約書を確認し、不明な場合は貸主や不動産会社へ直接確認することが最も確実です。

水道の契約

ガスの契約

ガスは、開栓時に立ち合いが必要となることが多く、引っ越し当日にお湯やコンロが使えない原因になりやすいポイントです。繁忙期は予約が埋まりやすいため、入居が決まったら早めに申し込むようにしましょう。

ガスの契約

ネットの契約

インターネットの利用条件は物件によって異なります。あらかじめインターネット無料の設備が付いている物件もあれば、建物全体で一括契約している物件、自分で回線会社やプロバイダを契約する必要がある物件もあります。

インターネット無料の物件でも、速度や使い方に制限があることがあるため、事前に確認しておくと安心です。自分で契約する場合は、開通まで時間がかかることもあるため、早めに準備しておきましょう。

ネットの契約

ペットを飼う場合に必要な確認事項

ペット可物件では、飼育するペットの種類や頭数、性別などの申告を求められることがあります。物件によっては、写真、ワクチン接種状況、血統書の写しなどの提出を求められる場合もあります。また、ペット飼育に伴う特約が付くことや、家賃や管理費、敷金などが増えることもあります。

ペットを飼う場合に必要な確認事項

駐車場を借りる場合に必要なもの

駐車場をあわせて契約する場合は、駐車場使用契約や駐車場料金が発生します。また、車種、車両番号、車検証の写しなどを求められます。区画の指定がある場合や、サイズ制限がある場合は、事前確認が必要です。

駐車場を借りる場合に必要なもの

駐輪場を借りる場合に必要なもの

駐輪場を利用する場合は、自転車やバイクの台数、車種、防犯登録番号などの申告を求められることがあります。ステッカー代や使用料が必要な物件もあるため、あわせて確認しておくと安心です。

駐輪場を借りる場合に必要なもの

その他に必要になりやすいもの

口座振替用の銀行口座および印鑑、引っ越し会社の手配、郵便物の転送届、住民票の異動、家具家電の搬入日調整なども、入居前後に進めておきたい手続きです。

その他に必要になりやすいもの

賃貸契約のよくある質問

Q 賃貸契約から入居までどのくらいの日数が必要ですか?
A

物件や審査状況にもよりますが、申し込みから入居までは最短で1週間。通常2~3週間程度を一つの目安にすると良いでしょう。1月から3月、秋口の繁忙期や追加書類が多い場合、家賃債務保証会社の審査に時間がかかる場合はさらに延びることがあります。急ぎの入居を希望する場合は、身分証や収入資料を先に準備しておくと進みやすくなります。

取材POINT

家主有志のメンバーから、契約から入居までは「1カ月程度」を想定するという声が多く聞かれました。ただし、審査状況や必要書類の準備、繁忙期かどうかによって前後するため、実際の日程は個別確認が必要です。

Q 住民票が無くても賃貸契約できますか?
A

住民票は、居住関係を公的に証明する書類で、賃貸契約では本人確認や入居者の構成確認のために提出を求められることがあります。本人確認書類と照らし合わせて確認するため、契約時の重要書類の一つです。入居者が複数いる場合は、全員の記載がある住民票の写しが必要になることもあります。

また、提出する住民票は発行から3カ月以内のものが求められます。市区町村役場で取得でき、春日井市やみよし市などではコンビニ交付にも対応しています。名古屋市では2026年12月から対応予定です。

なお、単身入居では一部事項証明、家族入居では全部事項証明が必要になる場合があり、マイナンバーは記載しない形で取得するのが一般的です。

ただし、必要書類は物件や貸主によって異なります。前述の家主有志のメンバーには 「必須ではない」とする回答も半数ほどありました。実際に必要かどうかは、契約前に個別確認しておくと安心です。

Q 連帯保証人なしで賃貸契約はできますか?
A

「賃貸契約に必要なお金」の3項目で述べたとおり、家賃債務保証会社を利用する貸主が多く、連帯保証人なしでも、契約できる物件は多くあります。ただし、すべての物件が対応しているわけではなく、「家賃債務保証会社の審査に通ることが条件」であることが一般的です。物件によっては、連帯保証人の代わりに緊急連絡先の提出を求められることもあります。名古屋では、連絡保証人を不要とし、緊急連絡先を確認する運用が比較的多いようです。

Q 印鑑は必要ですか?
A

契約方法や不動産会社によって異なります。書面で手続きを行う場合は押印を求められることがありますが、電子契約では不要な場合もあります。

また、家賃の口座振替を利用する場合は、銀行口座情報や金融機関への届出印が必要です。契約前に必要なものを確認しておくと安心です。

Q 初期費用はいつ支払いますか?
A

一般的には、契約締結前後、または契約開始日までに支払うケースが多くなります。振込期日が短いこともあるため、審査通過後は早めに総額と支払方法を確認しておくと安心です。

Q 契約後にキャンセルできますか?
A

申込後や契約直前なら相談余地がある場合もありますが、契約締結後は原則として契約条件に従う必要があります。短期解約違約金やキャンセル時の扱いは、契約前の確認が重要です。

Q 入居時に部屋の傷を見つけたらどうすればいいですか?
A

すぐに写真を撮り、管理会社や貸主へ共有しておくことが大切です。入居時の状態を残しておくことで、退去時の原状回復トラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

賃貸契約では、入居までに必要な書類や費用、手続きをあらかじめ確認しておくことが大切です。本人確認書類や収入に関する資料、初期費用の準備に加え、電気・ガス・水道・インターネットなどの手続きも忘れずに進めておきましょう。流れを知って早めに準備しておけば、契約や入居もスムーズに進めやすくなります。

加藤有里子(okiruy)

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加藤有里子(okiruy)

ライター・記者・広報支援を手掛ける。全国賃貸住宅新聞で大阪支局長代理を務め、東海エリアを担当。不動産業界の展示会「賃貸住宅フェア名古屋」の運営にも携わるなど、不動産・賃貸業界を中心に取材を重ねてきた。2021年に独立し、地方紙への寄稿のほか、Yahoo!ニュース掲載記事も執筆。企業の大小を問わず、広報活動の企画・取材・執筆・編集まで幅広く対応している。

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