Q.先日、父が他界しました。父の遺産を整理していたところ、父の所有している建物に第三者が居住しているようでした。当該第三者からは、毎月5000円の賃料の支払を受けています。私は、当該第三者に対して、建物からの退去を求めることはできるでしょうか。
まず、土地建物に関する契約について確かめる必要があります。毎月5000円の賃料の支払を受けているとのことですが、この賃料額はどのように評価されるでしょうか。建物の借主が建物に対する公租公課を負担した場合でも、使用収益に対する対価としての意味はないとして、賃貸借契約ではなく使用貸借契約であると判断されたケースがあります(最高裁判所昭和41年10月27日判決)。
当該第三者が支払っている賃料は毎月5000円ですので、本件土地建物の公租公課を負担しているだけかもしれません。その場合には、本件土地建物に関する契約は、使用貸借契約と評価することが可能でしょう。
2 使用貸借契約は、使用貸借の期間を定めたときは、その期間が満了することによって終了します(民法第597条1項)。
また、使用貸借契約は、使用貸借の期間を定めなかった場合においても、使用及び収益の目的を定めたときは、その目的に従い使用収益を終えることによって終了します(民法第597条2項)。
さらに、使用貸借契約は、使用及び収益の目的を定めたときは、その目的に従い借主が使用及び収益をするに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができます。
本件土地建物に居住している第三者に対して建物からの退去を求めるためには、これらの使用貸借契約の終了を主張できるかによります。使用貸借契約を締結した経緯、当該借主との関係、使用貸借期間の長さ等を調査する必要があるかと思います。
民法第五百九十七条 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
2 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。