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相談事例Q&A集詳細

Q.事務所を建てるために、土地を購入しました。媒介業者には、事務所建築のために土地を購入したい旨、始めから伝えていました。ところが、土地を購入した後、いざ事務所を建築しようとすると、建設業者から、当該土地では事務所を建築できない旨告げられました。媒介業者に対して損害賠償を請求できますか。

損害賠償請求ができる可能性があります。

1 事務所を建築できない理由

相談者は、購入した土地上には事務所を建築することができないと告げられています。
事務所を建築できない理由としては、様々な理由が考えられます。
そのうちの1つとしては、用途地域の観点から、事務所を建築することができない地域であることが考えられます(建築基準法48条)。
また、そもそも同土地が接道義務を満たしていないため、建物を建築することができないことも考えられます(建築基準法43条)。

2 損害賠償請求ができるか

宅地建物取引業者が損害賠償義務を負うか否かは、ケースバイケースです。
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買等にあたっては、宅地建物取引士をして、都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限について説明しなければならないこととされています(宅地建物取引業法第35条1項2号)。
買主は、宅地建物を購入する際、何らかの目的を有しています。しかしながら、都市計画法、建築基準法等の法令上の利用制限により、契約目的を達成できなくなる場合があります。買主は、契約目的を達成できなくなるような法令上の利用制限は避けたいところですが、専門知識がないため、自ら調査することは難しいです。
かかる状況において、買主が契約目的を達成できるようにするため、宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者が法令上の制限についての説明すべき義務を定めています。
相談者は、媒介業者に対して事務所建築目的での土地購入を伝えていたとすれば、事務所が建築できない法令上の制限があることについて説明しなかった媒介業者に対して、説明義務違反を理由とする損害賠償請求をすることが考えられます。
以上

参考条文

宅地建物取引業法
(重要事項の説明等)
第35条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要



建築基準法

(敷地等と道路との関係)
第43条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
一 自動車のみの交通の用に供する道路
二 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第十二条の十一の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内の道路


(用途地域等)
第48条 第一種低層住居専用地域内においては、別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
2 第二種低層住居専用地域内においては、別表第二(ろ)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
3 第一種中高層住居専用地域内においては、別表第二(は)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

別表第二 用途地域等内の建築物の制限(第二十七条、第四十八条、第六十八条の三関係)
(い) 第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 住宅
二 住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの
三 共同住宅、寄宿舎又は下宿
四 学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館その他これらに類するもの
五 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
六 老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの
七 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第六項第一号に該当する営業(以下この表において「個室付浴場業」という。)に係るものを除く。)
八 診療所
九 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物
十 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
(ろ) 第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が百五十平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
三 前二号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)
(は) 第一種中高層住居専用地域内に建築することができる建築物 一 (い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 大学、高等専門学校、専修学校その他これらに類するもの
三 病院
四 老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの
五 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が五百平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
六 自動車車庫で床面積の合計が三百平方メートル以内のもの又は都市計画として決定されたもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)
七 公益上必要な建築物で政令で定めるもの
八 前各号の建築物に附属するもの(政令で定めるものを除く。)

監修:善利法律事務所 善利 友一 弁護士
 
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